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ビジネスで「値引き交渉」には応じるべきでない2つの理由

ビジネスで「値引き交渉」には応じるべきでない2つの理由

 

 

こんにちは、高田です。

 

今回は「値引き交渉」について書きたいと思います。

(※あくまで私の考えなので、1つの参考程度にして下さい)

 

 

まず、前提から整理したいと思います。

 

値引き交渉といっても様々なシチュエーションが想定されますが、例えば家電量販店で、

 

「エアコンと冷蔵庫、セットで購入するので、もうちょっと値段どうにかなりませんか~?」

 

といった、一般消費者とのやり取りではなく、ここでは主にB to Bビジネスを想定してお話を進めることにします。

 

これは、そうした方が内容をご理解頂きやすいと思われるためですが、無論B to Cビジネスにおいても考え方自体は参考になると思っています。

 

ということで、前提はここまでで、まず結論から書きたいと思います。

 

 

結論としては、「値引き交渉されても簡単に応じるべきではない」というのが私の主張です。

 

コンサル指導先でも、同じことをお話しさせて頂いております。

 

むしろ、安直な値引き交渉であった場合には、こちら側から願い下げするべきとお話ししており、理由を説明すると、とても共感・納得いただけることが多いです。

 

 

では、値引き交渉を願い下げるべき理由とは何か?

 

大きく2つあります。

 

 

 

たった10%の値引きが、赤字の原因になる

 

たとえば、売価1万円で粗利益2,000円の商品があったとします。

 

つまり、粗利率は20%です。

 

ところが、顧客側から「どうにか価格を下げられないか?」と交渉されたので、10%割引くことで受注に至った。

 

この場合、商品1つを販売して本来得られる粗利益は2,000円であったのに対して、値引き交渉に応じたがゆえに粗利益は1,000円となりました。

 

つまり、たかが10%の値引きと思いきや、粗利益でみると半額です

 

これまでは、商品1つあたりの粗利益2,000円によって、人件費を中心とした固定費をまかない、そして、どうにか経常利益を出していたことになるので、当然、上記のような対応が増えると厳しい経営を強いられます。

 

重要なので繰り返しますが、これまでは粗利益2,000円の中から、人件費やオフィス賃料、光熱費や営業マンの交通費といった販管費を支払い、そして、どうにかこうにか僅かに残った差分を利益として計上していたのです。

 

それが、急に粗利益1,000円になってしまったら・・・。

 

人件費やオフィス賃料、光熱費等の販促費を、急に下げることはできません。

つまり、利益を削る(又は赤字を出す)ことにしかならないのです。

 

 

結局、本来1万円の売価の商品を、10%値引きして9,000円で売れば、2倍の18,000円分売らなければ必要な粗利益の2,000円を確保できないことになります。

 

どんなビジネスモデルかにもよりますが、急に従来の2倍売るっていうのは非現実的です。

 

「たった10%の値引きが、2倍売らないと赤字になる」

 

ということが、恐ろしいことに、いとも簡単に起こってしまうのです。

 

これが、私が値引き交渉に簡単に応じるべきではないと主張する1つ目の理由です。

 

 

 

現場の営業マンは売上しか見えていない

 

ここまでのお話で「そんなん、当たり前でしょ!」と、思った方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、我われ経営者からすると当たり前のことに思えますが、御社の従業員さんだったらどうでしょうか?

 

特に営業マンの方だと、なかなかこのような視点は持ち合わせていません。

 

なぜならば、彼らの成績は「売上」によって管理されているケースが大半だからです。

 

私も営業出身だからこそ分かりますが、営業マンが“営業利益の視点”で目標管理されているケースは極めて稀です。

 

ゆえに、10~20%程度の値引き対応は、「お客様のため!」という営業精神によって、現場では簡単に行われてしまうのです。

 

 

 

軽々しく値引き交渉すると“信用残高”が減る

 

以前、こんなケースがありました。

 

月額1万円のサポートサービスに対して、

 

「もうちょっと価格をどうにかできないでしょうか~?」

 

と、ざっくりこんな流れです。

 

ちなみに、お互い個人ではなく法人間の契約のお話しです。

 

それゆえ、価格が10万、20万のサービスに対して、

 

「捻出できる予算がこれぐらいだから、もう少しどうにかならないか?」

 

といった類のお話しならまだ分かるのですが、売価1万円のサービスに対して“たかが数千円”を叩いて、いったい何になるのでしょうか?

 

一応触れると、私は値引き交渉する行為自体を「悪」だと主張している訳ではありません。

事情あってのお話しなら理解できます。時に、お願いしなければならないケースもあるでしょう。

 

しかし、このケースにおいては、もともと相手の足元をみて“叩き癖”のある企業体質だと疑わざるを得ませんでした。

 

事実、何ら意図や誠意の感じられない「もうちょっとどうにかなりませんか?」という、軽はずみなこの一言によって、少なくとも私からの“信用残高”は一気に減ってしまったのです。

 

上記はあくまで一例ではありますが、個人的な経験則からすると、軽々しく値引き交渉してくる人や企業とお付き合いしても、後々良いことはありません

 

端的にいうと、気持ち良くお仕事をできる相手ではないです。

 

むしろ、後々何かと“いちゃもん”を付けてくるモンスタークライアントに発展する可能性すらあり得ます。

 

実はこれこそが、私が値引き交渉に簡単に応じるべきではないと主張する2つ目の理由です。

 

 

モンスタークライアント

 

 

 

センスのある人は「値引き」ではなく「値増し」する?

 

一応繰り返しますが、私は値引き交渉する行為がダメだと主張している訳ではありません。

私も発注する側のときは、予算の都合でお願いすることはありますので・・・。

 

しかし、私はぶっちゃけ、軽々しく値引きを要求する方というのは、極めてビジネスセンスの低い方だと勝手に思ってます。

 

「少しでも安くして、予算を浮かせよう」

 

という発想によるものだと思いますが、視点がきわめて“短絡的すぎ”ではないかと。

 

むしろ、「いかに安くさせるか?」という発想とは真逆で、

 

「いかにして相手にメリットを与えて、全面的に自分の味方につけるか?」

 

センスの良いビジネスパーソンは、そんな発想だったりします。

 

 

ビジネスセンスの良い人・悪い人

 

 

つまり、こういうことです。

 

相手へ充分に儲けさせる(メリットを与える)。

 

それにより、自分(自社)から逃げられない状態にする。

 

ここでいう“逃げられない状態”とは、全面的に協力(サポート)せざるを得ない状態と置き換えられます。

 

でも、サービス提供者側は「逃げられなくなった・・・」なんて思ってないでしょう。

 

むしろ、「このお客様には、何でもやってやる!」ぐらい自発的にモチベーションが上がっている可能性の方が高いです。

 

なぜならば、それだけの恩恵を受けているからです。

 

結果、発注側である自分(自社)は、5%・10%の値引きなんかよりも遥かに上回るメリットを得られるという訳です。

 

経験上、人を動かすことに長けている経営者ほど、この視点をもっている方が多いように感じます。

 

 

 

値引きしない社長

 

 

 

まとめ

 

ビジネスの現場で、わりと頻繁に出くわすのが「値引き交渉」。

 

しかし、「少しだけなら」という安易な値引きは、一気に業績を悪化させる直接的な原因になったりかねません。

 

むしろ、「少しでも安く」という低次元な思考の相手とビジネスをしても、両者にとって明るい未来は期待できないと考えます。

 

我々のような小さな会社には、値引き交渉とは断固として戦うというスタンスが求められているのではないでしょうか?

 

 

 

この記事を書いた人

高田 晃(Hikaru Takada)

(実は色白。)

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