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【3分でランチェスター戦略の事例】ターゲット層の拡大にユニークなアイデアで成功させたクラウンの事例

【3分でランチェスター戦略の事例】ターゲット層の拡大にユニークなアイデアで成功させたクラウンの事例

今回のランチェスター戦略の事例は「トヨタ自動車のクラウン」です。
1955年にトヨタから販売されたクラウンは、高級自動車として、主には社用車としてのシェアを拡大していました。
そんな中、トヨタ自動車は1967年のモデルチェンジを機会に、自家用車としてのシェア拡大はできないか模索する事になります。
社用車として、圧倒的なブランディングとシェアを占めていたクラウンが、どのような戦略で自家用車としてのブランド認知を行い、自家用車という新規市場に参入していったのでしょうか。

社用車から自家用車へのシェア拡大の為の戦略

それは恐ろしく単純と思える広告戦略にあります。今までの黒のクラウンとは逆に「白いクラウン」を発表したのです。広告のキャッチフレーズは「白いクラウンは幸せなハイライフの象徴です」これが見事にはまり、自家用車としての市場参入に成功します。
では、なぜ「白いクラウン」という色だけで自家用車の市場シェアを獲得できたのでしょうか。
当時、色が一つのステータスを表す要素となっていた事が大きく影響しています。
例えばホワイトカラーは「頭を使う人や、シャツ、ネクタイを付けて働く人」を表し、ブルーカラーは「現業系や技能系の職種」を表していました。
それと同様に、車では黒は公用車や高級車、白は自家用車や一般車という位置づけがなされていました。
つまり、当時では、クラウン=黒=高級車という強烈なブランディングがなされた中、白いクラウンは衝撃的であり、また、クラウンに憧れていたが手が出せない中流階級層に受け入れられたのです。

クラウンのランチェスター戦略

2013年にはピンクのクラウンでシェア拡大を狙う?

その時代背景もあり、「白いクラウン」は大成功しました。イメージ戦略で大きく成功した事例として、広告業界ではよく参考にされています。
そんな中、2013年にトヨタ自動車は「ピンクのクラウン」を発表します。
これは、若年層市場の開拓を狙った戦略で、過去の「白いクラウン」の成功を参考にした戦略でしょう。
この「ピンクのクラウン」は2013年9月の1ヶ月だけの限定販売でした。
発表当時の市場の反応は、斬新な取り組みに称賛する人が半数、「おじいちゃんの若作り」等、揶揄する批判的な人が半数でした。
では、販売した結果はどうだったのか。。。
640台の販売で目標台数を大きく超えた結果だったようです。
個人的には、色による戦略が、昔と比較すると現代でどれだけ通用するかは懐疑的ではありましたが、結果成功したようです。
ちなみに、購入者内訳は。。。

  • 個人名義の顧客が52%
  • 法人名義は48%

で、通常モデルよりは、法人名義が10%ほど多かったようです。気になる年代別では以下です。
※()内は通常モデルのシェア

  • 30代が18%(6%)
  • 40代が24%(14%)
  • 60代が24%(54%)
  • 60代が24%(54%)

当初の狙いであった若年層への狙いも成功したようです。まあ、ピンク色を高齢層が買うとは思えませんが。。
成功の要因としては、思い切った意外性にあると考えらえています。
限定モデルであり、何より街中を走れば間違いなく目立つので、宣伝効果もあり、法人名義での購入が多かったのでしょう。
「白いクラウン」の成功規模とまでは到底いきませんが、色による意外性で新たな成功事例が生まれました。
市場拡大は非常に難しい戦略ではありますが、少しのアイデアと少しの労力で大きな成果を残した事例でした。是非参考にしてください。

この記事を書いた人

山野 勉(Tsutomu Yamano)

(胃腸が弱いけど、牛乳が好き!)

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